サラリーマンの副業はほとんどは黙ってやるしかない現実
副業・兼業の促進に関するガイドラインを作って国が副業を促進したり、銀行でも副業が解禁されたり副業に追い風のような話がここ最近多くなっています。
しかし、こういった動きに追従するのはまず大企業であり、数少ない先進的な中小企業でしょう。
大多数の中小企業で副業は実質的に解禁が全然進んでいないのが現状であり、サラリーマンが副業をするのはまだまだ黙ってるしかない現実があるのだと考えられます。
ポイント
- 就業規則の運用
- 経営者にとって副業はリスク
- 企業への労基法違反の罰則は弱い
就業規則は副業に言及していますか?
まず就業規則の話をすると、果たして就業規則がどれだけまともに運用されているのでしょうか。
- 経営者の息のかかっていない人が代表で意見を聞き
- 事前にしっかりと通知、説明があり
- 社会情勢や経営戦略に沿って就業規則が変更されている
上記のように就業規則を重要なものとして受け止め、運用している会社の方が少ないでしょう。
参考データとして、「中小企業の雇用状況に関する調査集計結果」があります。
この中では、8割以上が就業規則を整備済みとあります。
しかし、就業規則の策定体制があるのは50%未満しかなく、体制があっても7割は外部の社労士に頼っています。
社労士といっても商売ですから、経営者に不利な内容をどんどん提案するようなことはありません。
あくまで外部ですから、会社の課題を就業規則から解決するようなことはあまりしないのでしょう。
さて、こんな状況で国が副業を促進をしているからといって柔軟な就業規則運用がなされるでしょうか?
多くの中小企業ではそんなことは起こらないでしょう。
経営者にとって従業員の副業は望ましくない
サラリーマンにとって副業は収入が増える一つの手段ですが、経営者にとっては全然望ましくないのです。
先見の明のある経営者の方は、さっさと副業を解禁していることでしょうが多くはそうではないでしょう。
- 副業による本業のパフォーマンスダウン
- 外部への人材流出リスク
- 情報流出のリスク
経営者にとってこのようなリスクがあります。
ただ、少子高齢化人材不足の状態ではさっさと副業を解禁してオープンな会社にした方が若い人も働きやすいから集まってくるでしょう。
そんなメリットよりはリスクに目を向けているため、副業の解禁の流れにはなかなかなりません。
労基法違反への罰則が弱い
副業禁止≠労基法違反ですが、労基法の罰則の弱さの影響が与えることを説明します。
大企業は労基法違反に対する社会の反応による影響が多大であるため、しっかりと守っていこうという力が働きます。
しかしこれが中小企業の場合、罰則が弱いため有効に働く力になりません。
その理由が罰則の弱さです。
労基法の罰則一覧
- 1年以上10年以下の懲役又は20万円以上300万円以下の罰金
- 1年以下の懲役又は50万円以下の罰金
- 6ヵ月以下の懲役または30万円以下の罰金
- 30万円以下の罰金
実際は、書類送検止まりで懲役刑になるような事例はほぼありません。
この罰則の弱さ故、サラリーマンが会社と何かあって争ってもトータルで失うものが多くなります。
副業は基本的に会社への損失やリスクがなければ裁判でも解雇無効と認められていますが、解雇され裁判したところで実際残るものは少ないのです。
厚生労働省がモデルとなる就業規則を作っても適用義務が原則あるわけでもなく、副業をしたサラリーマンを不当に解雇しても罰則はほとんど企業側へのダメージになりません。
これが現状ですから、やはり会社で大々的に認められていない中小企業で働くサラリーマンは副業を黙ってやるしかないのです。